次にFGF-5は、毛のどこで作られるかを調べました。
その結果、外毛根鞘と呼ばれる部位の下部(図の黄色)で、出ていることがわかりました。
しかし、FGF-5は常に出ているわけではなく、ある特定の時期に出ていることもわかりました。
それは、毛周期の『成長期後期』です。成長期の後期は、毛が抜ける準備をする『退行期』の少し前です。
すなわち、毛が抜ける前にFGF-5が出ているということが実験により証明されました。
これらの結果から、FGF-5は、毛周期を調整していることが推測され、成長期の後半でFGF-5が出てくるという事実は、FGF-5が成長期を終わらせ、退行期へと導くシグナルであるということがわかりました。
従って、FGF-5が働かなければ退行期には移らずに、成長期が伸び、毛が長くなるということになります。
FGF-5が働かなければ毛は長く伸びる
参考文献:
『FGF-5 as a regulator of the hair growth cycle: evidence from targeted and spontaneous mutations. 』
Hebert JM, Rosenquist T, Gotz J, Martin GR. Source Cell. 1994 Sep 23;78(6):1017-25.