マーティンゲイルらは、FGF-5の役割を調べるために、FGF-5遺伝子が働かないノックアウトマウスを作りました(遺伝子を働かなくして、機能を調べる方法)。
そして、FGF-5が働かないマウスは、普通のマウスよりも体毛が長くなるという結果になりました。
FGF-5が働かないことで毛は長くなる。言い換えると、FGF-5が働くことで毛は短くなる、ということになります。
よって、FGF-5は、『毛を短くする役割があるのではないか』と推測されました。

FGF-5が働かないため、長毛になったマウス(提供:ジョン フォーリー教授)
一般のマウスよりも体毛が長く『長毛』なマウスには、自然変異で発生したアンゴラマウスがいます。 そこで、アンゴラマウスは、どの遺伝子が原因で長毛になるかを調べてみることにしました。
遺伝子の変異を解析する方法で調べてみると、アンゴラマウスはFGF-5遺伝子に異常があり、うまく働いていないことがわかりました。つまり、FGF-5遺伝子の変異が長毛を引き起こすということです。
人工的な変異(ノックアウトマウス)、自然変異(アンゴラ)のどちらも、『FGF-5が働かなくなることによって長毛になる』ということが証明されました。
結果、FGF-5は毛の長さを調整しており、FGF-5が働かなくなると毛が長くなるということがわかりました。
さらに、マウス以外の動物でもFGF-5が働かなくなると毛が長くなるということがわかってきました。

FGF-5の働きが抑制されたウサギの長毛種(アンゴラウサギ)(右)
参考文献:
『FGF-5 as a regulator of the hair growth cycle: evidence from targeted and spontaneous mutations. 』
Hebert JM, Rosenquist T, Gotz J, Martin GR. Source Cell. 1994 Sep 23;78(6):1017-25.
『A note on linkage between the angora and FGF-5 genes in rabbits 』
Mulsant P, De Rochambeau H, Thebault RG.
World Rabbit Science. 2004 12:1-6.